高品質Real9(Helix)対応ハードエンコーダStreamZ*登場
Digital Rapids Corporation
ストリーミング・プリプロセッサ/エンコーダ

2002-09-30
尾上泰夫


今年はインターネットメディア配信が大きく変わる年だろう。
RealNetworks社のReal9、Microsoft社のWindowsMedia9、AppleComputer社のQuickTime6など主要メーカーがデジタルメディアフォーマットそしてサーバーを大きくバージョンアップさせた。
その中でも業界をリードしてきたRealNetworks社は7月Helixという新しいブランドを打ち立てた。
今回は早くもHelixに対応したDigital Rapids Corporationのリアルタイムハードウェアエンコーダー「StreamZ*」を試してみた。
このエンコーダの特徴は、今まで多くはソフト処理であった映像のプリプロセスを強力にハードウェア処理するところであり、リアルタイムに高画質なデジタルメディアを作成できる。
■ 基本操作
「StreamZ*」を起動すると,大変シンプルなウィンドウが開く。
基本GUIは大きく分けて映像表示、設定、映像設定の3つで構成されている。
操作も基本的な設定であれば3ステップでエンコード、ブロードキャストが可能である。

1、 出力の設定ファイルを作成する。
2、 映像ソースの設定ファイルを作成する。
3、 映像、音のプリプロセスの設定をする。
そして、スタートボタンを押すだけである。

デュアル・エンコード対応モデルであれば、2つの異なった映像ソースを同時にエンコードが可能であり、設定ももう一つウィンドウを立ち上げるだけで後の操作はまったく同じだ。


【BasicGUI.bmp】

基本GUI。直感的に操作できる。
■ 出力ファイルの設定
初めに出力ファイルの設定を作成する。
現在Windows Media(先日WindowsMedia9対応表明)、Real Media (Helix応済み)、※Quick Time、MPEG-1、MPEG-2、※MPEG-4、AVI、DPSファイルなどに出力対応だ。
※印については-有償オプションになる可能性があります。
初めにも述べたがHelixエンコーダの設定も早々と対応している。
【Helix_encoding.bmp】出力ファイルの設定画面。Real9に対応しているのが分かる。
DPSファイルへの出力だが、弊社でdpsVelocity*-Jv7.6上で再生出来た。
今後入力が可能になり、dps社の独自形式であるVTFSのPドライブを共有できるということになると、dpsRealityHD*からのHD素材のエンコードも可能になりReal9,WindowsMedia9で両社共が大きくうたっている新機能、HDクオリティのデータが作成可能になるであろう。
将来に期待したい。


【DPS-VTFS-save.bmp】

VideoとAudioが別なDPSファイルで出力できる。
出力設定ファイルは保存が可能なのでライブ中継や普段決まった数値でエンコードする場合などは予め作成しておける。
同ソースから複数同時エンコードの場合は、出力ファイルをプロファイルウィンドウから呼び出すだけである。
■ 入力設定ファイルの作成
Inputタブで映像の入力設定をする。ここでの映像ファイル設定も保存可能である。
入力を選ぶと映像表示部分にソース映像と音を出すことが出来る様になる。
このタブで重要なのはデインターレースにチェックを入れる事だ。
「StreamZ*」の動き補償型デ・インタレースはハードウェア処理のためCPUに負荷が掛からない。
入力はアナログモデルとデジタルモデルからの選択になる。

アナログモデル:
コンポジット×2
S-Video×2
YUVコンポーネント×2
バランスオーディオ×2(XLRキャノン)
アンバランスオーディオ×2(RCAコネクター)
デジタルモデル:
上記アナログモデル入力系統に追加して 
シリアルデジタルD1(SDI)×2
DV(IEEE1394)×1
AES/EBU×2

■プリプロセス
この段階で「StreamZ*」の最大の特徴であるプリプロセスをかけることが出来る。
VideoプロセスとAudioプロセスタブがあり、両方ともリアルタイムに反映する。
クロッピングは任意の数値を打ち込むことが出来る。
もちろんエンコード中に数値を変更することも可能である。
また右クリックで数値を基本値に戻せるのも便利である。
Videoプロセス:
  クロッピング
  プロックアンプ/ブライトネス、コントラスト、サチュレーション、ヒュー、
         カラーゲイン、カラーバランス補正
テンポラル(3次元)ノイズリダクション
スペーシャル(2次元)ノイズリダクション
アスペクト比変換
【DPS-VTFS-video.bmp】変更した数値はリアルタイムで反映される。
Audioプロセス:
  7バンド・パラメトリック・イコライザ(EQ)
  ダイナイックレンジコンプレッションコントロール
  ボリューム調整
高音/低音調整
20bit内部処理

【DPS-VTFS-Audio.bmp】

 

■ 出力設定
最後に出力先の設定をする。
アーカイブとブロードキャストが同時に可能である。
ライブ中継で流しっぱなしで終わりではなく、アーカイブ事により中継後も、素材の2次利用が出来る。
また、アーカイブのファイル名には関数を使用する事により日付、ビットレートやプロファイル名を自動的にファイル名として付ける事が出来る、タグ機能も有る。
制御としてRS-422VTRデッキコントロール(予定)、あるいはGPIが付いているので、GPIトリガーを受けられる機器の制御が可能だ。


【GPI.bmp】


【422control.bmp】

デッキコントロールが付くと自動処理により人が張り付かなくてすむ。
ここまで設定すればもうエンコード開始だ。
エンコード中はStatisticsタブでエンコードの状況を確認できる。

今後エンコード作業は、幅広く新しいコーデックに柔軟に対応、ブロードバンドという広帯域に対応したクオリティの高い動画、インターネットという速い流れに乗り遅れないための大量、迅速な作業、プロ用映像機器との親和性これらすべてが必要になるであろう。
以上のものを兼ね備えており、さらに今後の予定として遠隔制御機能やオーサリング機能(未定)等を表明している「StreamZ*」の今後が楽しみである。

 

【商品名】StreamZ* (「ストリームゼット」)
【開発元】Digital Rapids Corporation


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