Webストリーム配信とデータベース
「ビデオクリップコレクション」
2001-03-04
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尾上泰夫
今月はオンデマンドでのWebCastを考えてみたい。
Webでの配信はイベントなどの中継が注目されるが、実際に行う場合では同時アクセスの回線帯域を確保する事が重要な要素となる。
ここで少しWebCastの流れをおさらいしておこう。
「WebCast ライブ中継」
カメラからラインでリアルタイムエンコーダーに送られたビデオ信号は即座に変換され、ネットワークを流せるストリームビデオデータとなる。この場では多数の人に閲覧してもらうための回線を集約することは困難だ。
そこでリアルタイムエンコーダーは、このデータをマルチキャストのできるビデオサーバーへ専用のポートを利用して転送する。
この場合の回線帯域は1ユーザー分の帯域が確保できればよいので、ISDNや、簡易にはPHSなどで無線転送する手段も利用できる。
インターネットで多数のユーザーが得ることのできる回線帯域を考えると、日本の回線価格では、自ずとダイヤルアップのモデムユーザーに向けたサイズを160×120で、28,8kから利用できることを想定する必要がある。 ISDNを前提に考えれば、240×180で、64kも、一般的になってきた。
ブロードバンド時代には平気で200kを超える高品質な映像も利用されるようになるだろう。
もし、末端で200kを確保するような高品質放送をしたいとすると、単純計算だが、500人の視聴者のセッションで100Mのバックボーンを食い尽くすことになる。有効な帯域を維持しようとすると、より視聴者に近い場所へ多数のサーバーとなるスプリッターを配置していくことが必要になる。
リアルタイムにこだわる場合、高品質なWebCastはテレビ放送同様の視聴者数を望めば、電波での放送を超えるコストを見積もる必要もあるのだ。
また、同じ時間を共有する臨場感はあるが、見たいときに勝手に見ることはできない、中央集権的なテレビ放送の不便さだけが継承され、パーソナルメディアとしての利便に欠けるところも事実だ。
「WebCast オンデマンド」
一方、オンデマンド放送の場合は、好きな時に見られるので、適切なナビケートが有効だ。
エンターテイメントの場合は、サムネール的に本編のダイジェストクリップを、WebやmailでURLリンクすることが有効だ。
オンデマンドは利用される形態をシステムでサポートする仕掛が有効になってくる。特に業務用途の場合はオンデマンドのクリップを用途に応じて使い分けることが望まれる。
例えばマニュアル映像を提供する場合、必要なシーンに合わせて適切な助言をチョイスできるシステムが存在することが有効だ。
ビジネスではケーススタディなどの教材がますます有効になる。
自動車整備の場面でも、次世代携帯電話のような端末へパーツナンバーを入力すると、取扱説明や、適切な取り付けの手順説明、設定方法などの情報を送ることができるようになる。
ホビー用途でも、家庭でプラモデルを作成する手順を、進度にそって有効なガイダンスを放送してもらうことが可能だ。
料理を作る時も、電子レンジや冷蔵庫にセットされた液晶ディスプレーが、Webへ接続されれば、有効なレシピのポイントを、自分のテンポで見ながら調理していくことができる。
コンビにでも、レジスターに設置された液晶ディスプレーへ、そのお客様に最適な情報をフィードバックして次回の来店促進を図ることが可能だ。
学校などの教育機関では生徒の進度によって必要なクリップを使い分けることもできる。
しかも、どのシステムでも、「だれが」「なにに」「どこまで」興味を示しているかがLOGとして記録が残せるシステムに成長できるのである。
「ビデオクリップコレクション」
そこで、オンデマンドでは、一連の内容を長い時間のクリップにするのではなく、ケースに応じた短いクリップを沢山用意する事が必要になる。
そして多数あるビデオクリップを探し出す機能を充実しなくては、価値が半減してしまう。実際に多くのクリップを作られた方は理解頂けると思うが、実際に運用する場合、クリップに対応したWeb画面をそれぞれに用意し、メタ情報を合わせてビデオクリップとのリンクを取るのは大変な作業だ。
ストリームビデオ専用ブラウザーからURLを打ちこむ作業も勝手が悪い。
このような、多くのクリップを簡単にWebから運用したいという要望が多かったので、問題を解決した。
データベースを組み合わせたシステムを紹介しよう。
「MediaBOX 2000」と名付けられたこのシステムは、ソフト開発元「株式会社エルグベンチャーズ」の協力で、弊社(フォーツーツー)でターンキーとして発売する。
MediaBOX 2000の機能としては、
1:データベースと連動したWeb自動作成。
2:イントラネットでの広帯域通信を目指してストリーム配信を20%効率化。
3:Webからコンテンツを高速検索。
4:マルチキャスト対応。
社内のイントラネットで利用することを前提としているので、RealVideoではライセンスが高額になるため、WindowsMediaTecnologiesによって多数ユーザーでのアクセスを可能にしている。
それでは使い方をみてみよう。
設置は100BASE-TXのイーサネットへ接続するだけだ。
注意するところはハブの重要性だろう。高速転送するデータを有効に利用するためにはリピーターハブ(全てのポートにデータを送ってしまう)では無駄なコリジョンが多く発生するのでパフォーマンスが台無しだ。
スイッチングハブ(有効なポートにだけデータを送る)の中でも、カットスルー方式のものがストリームビデオには向いている。
ネットワークへ接続されたら、手持ちの「ASF」コンテンツを指示されたディレクトリへ移動してみよう。これだけで検索が可能になる。
ブラウザーの検索画面で、設定条件をなにも入力しないで検索すると、全てのクリップが列挙される。
クリップは20タイトルずつでページを自動的に増やしてくれる。
ここで好みの名前をクリックすると右側の画面で再生が始まる。
大画面にしても綺麗に再生される。たしかに転送効率を上げた効果が出ている。
一般的にデータベースは、その検索条件を入力するのが大変だ。
しかし、このシステムは「ファイルラベルデータベース」を使用しているので、簡単にフィールド情報を入力できる。
ネットワークを介して指定のボリュームへ、送る際、ルールに則ったファイルの名前を付ければ、それがそのままデータフィールドになるのだ。
「コンテンツタイトル-概略などの説明文-登録日付-登録者-素材時間-備考などの管理情報.asf」
上記のようなファイル名を付けることでどこからでもわかり易く管理する事ができる。また、入力を助けてくれるアプリケーションも付属している。
コンテンツの管理に苦労されている方にはお勧めのシステムだ。