映像制作にほしかったペイントソフト

「Satori FilmFX64 v3.0」

映画「The Matrix」の製作にあたり、荒涼とした未来都市の巨大なマットペイントを作成したのもこのソフトだ。

 

1999-09-09

尾上泰夫

 

このソフトは映画などの高品質な映像に用いる高解像度のファイルを軽々と扱うことができる。例えば45Mと80Mの高品質な印刷原稿を16レイヤー合成処理する場合、Photoshopではスローダウンは避けられないが、Satoriでは1Mのファイルを扱うのと同じ時間で作業を進めることができる。しかも、64ビット処理が可能なので暗い画面でも効果的な作画が可能だ。

ちなみに、映画「The Matrix」の製作にあたり、荒涼とした未来都市の巨大なマットペイントを作成したのもこのソフトである。


マットペイントに最適な多重レイヤーの快適な処理

実際のデータ解像度と関係なく画面上では必要最小限の表示で作業が行なえるのでレイヤーを重ねても、スピードが低下しない。

作業するコンピュータの性能をさほど要求しないのはとても経済的だ。特にネットワークでサーバーに保管してある大容量のデータを加工するときには効果的だ。

また、効果をオブジェクト管理しているので、特定の作業だけを変更したり、削除したりできるのは大変に便利だ。Photoshopの時間軸のヒストリーと似ているが、これはオブジェクトに対する効果の管理を効果的に行なえるのだ。

 

バックグラウンドレンダリングで作業の効率化

大変快適に作業ができる秘密は、作業時には実際の合成計算を行なわずプレビュー計算のみで進行するからである。

実際のファイルに効果を反映するためにはレンダリングを行なう必要がある。このスピードはマシンの能力に依存する。

しかし、実際にはレンダリングはバックグラウンドで行なえるので、直ぐに他の仕事を始められるので、圧倒的に能率が良くなるはずだ。

 

便利なペイントブラシアニメーション

面白い機能にペイントブラシアニメーションがある。

これは画面上で操作したブラシの動きをそのまま記録でき、連番ファイルに出力できるのだ。

2種類の画像をブラシでワイプするように移り変わる効果も簡単に作成できる。

地図の上に道順を示すような微妙な動きも奇麗に再現できるのはありがたい。

企業向けのビデオなどに重宝する機能だろう。

 

効果をロトスコープ機能で動画へ反映

 

CGソフトなどで作成した連番のリファレンスファイルと、背景の静止画を合成して光線などのグロー効果を加える処理も簡単に行なえる。

このソフトのもう一つの特徴に、Java Rollover機能がある。

インターネットで効果的なデザインをサポートするために作成したボタンをHTMLドキュメントに変換してボタンリンクなどの設定を行なうことができる。

高品質な印刷画像素材の扱いや、動画映像加工ソフトとしての機能に加えてインターネットで利用することも「Satori FilmFX64 v3.0」で可能になる。

Photoshopとの連携が快適

画像レタッチの定番であるPhotoshopのレイヤーフォーマットをそのままサポートしているが、将来は、Photoshopのプラグインアプリケーションとして同時に機能させることができるといわれている。