デジタルデータ処理の特性


映像をデジタルで扱う仕組を制作の立場で簡単に見てみよう。
基本的にテレビ業界におけるアナログとデジタルの違いは記録形式のちがいと考えておけばよいだろう。
テレビジョン信号という公共の規格で定められているNTSC自体、走査線数や、FPSに変わりはない。最初に製品として登場したフレームメモリーのような半導体製品と、それを応用するエフェクター。D-1、D-2などのデジタルVTR。これらを使用してアナログのビデオ信号をやり取りするスタジオの一部分からデジタル化が始まったのだ。
ご存じのようにアナログ信号は、時間軸をもった電気の強弱で表現されている。
テープへの記録は同じ再生時間軸を保証してリアルタイムに強弱信号を記録していく。
一方デジタル信号は、メモリーやハードディスクといったデジタル記録媒体に収録する。このとき時間「軸」ではなく「面」のような場所へその信号の住所を添えて置くのが特徴だ。
必ずしも信号が時間軸として連続する場所にある必要はない。サンプリングやプレイバックこそ同じ時間軸に同期させるが、ディスク自体へ書き込むスピードは映像の時間軸ではなく、コンピュータの処理するタイミングで決まり、一気に書き込んだり、一時的にバッファーへ蓄え、他の処理を行ったりすることができる。言わばテーブルに映像を「面」に広げた状態で保存したようなもの。このようの保存された映像信号はどこからでも自由に再生して見ることができる。この特性を最大限に生かしたのがノンリニアエディティングシステムだ。当初のノンリニアといえばクォンテル社のハリー、ヘンリーといった高価なシステムでしか実現できなかったが、この状況にも変化が起きた。
デジタル環境は、専用のハードウェアを中心にしたシステムから、高性能な普及型コンピュータ上で稼働するソフト主導で実現するシステムへ移行を始めているのだ。

 




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