制作環境での通信利用


話は変わるが、映像制作のスタッフは本当によく電話、FAXを利用する。制作情報の伝達に必要だからだが、はたしてどれほど記録されているだろう。連絡の行き違い。変更の徹底が困難。言った言わないの誤解。画像ニュアンスの伝達が困難。など多くの問題も抱えているのも事実だ。特にリアルタイムに双方の時間共有を強要する電話は、時差や話中の順番待ち、留守など、自分のスケジュールを重視するスタッフ間の通信としては頭がいたい。今でこそ携帯電話が移動するスタッフをフォローしてくれるが、FAXは受け取る場所が固定されてしまう。誰もいない事務所へFAXを送る空しさも電子メールなら解決される。ロケハンで撮影した写真やちょっとした記録も、従来のノートやメモ紙からは再生困難な状況ですら、電子メールでやりとりした記録からは明確にその現場が浮かび上がる。(ノートの汚れから思い出すこともあるのは認めるが)
何よりも重要なことは、どこにいても、いつでも必要な資料をひきずり出すことのできる懐の広さではないだろうか。パソコンのデータも必要な時にその場になかったり見つからなければ、存在しないのと同じことだ。
ある程度電子メールに慣れてくると便利さゆえに欲が出てくる。
そこで次に登場するのがバーチャルオフィスとも言うべきデジタルオフィス環境だ。電子メールだけでなく、限定したスタッフの会議室や、共有する資料の保管など、さながら専用のスタッフルームがデジタルネットワーク上に実現する。従来のように作業の違う人が同じ時間に同じ場所へ集まる無駄もなく、共有するべき情報は常に最新の物がスタッフ全員で共有できる。企画書から構成台本、カット割、香番表、撮影記録、そして編集記録。
これら全ての制作情報がデジタルの環境で扱えるようになる。
この環境こそがノンリニアシステムの真価を発揮するベースになるのだ。

 




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