Akamai

エッジキャッシュとコンテンツデリバリーの世界

ブロードバンドネットワークの高速コンテンツ配信サービス

2001-10-29

尾上泰夫

インターネットでエンドユーザー側の回線は安価で広帯域になって喜ばしいが、契約スピードが向上したほどには実際のサービス速度を得られない現実がある。
年々高性能になるコンピュータ、そして高速のラストノード回線。
しかし、インターネットのサービススピードが向上しない。 いったいどうしたのだろう。

 

実は速い回線が、より多くのエンドユーザーをオリジナルサーバーへ導いてしまうため、サーバー付近のファーストノードにあるネットワーク回線が相対的に遅く、不安定になり、つながりにくい現象を助長しているのだ。短時間に集中するサーバーへのアクセスに耐え切れなくなるとサーバーダウンの原因になる。有名アーティストのコンサートや、期間限定の申し込みなどサーバーダウンが報道されるケースが増えてきている。

オリジナルサーバーへ集中するしかない環境では、改善の方法が高額なバックボーン回線の増量や、サーバー多重化による負荷分散など更なる投資が必要になる。これは平常時にオーバークォリティを覚悟しなければならない。
この状態を効果的に改善するにはエッジキャッシュサービスを利用することだ。
アカマイは、エンドユーザーの近くからデータを配信し、コンテンツ配信のバランスをコントロールすることができるので劇的にオリジナルサーバーでのピーク需要の扱いが改善される。
弊社(FourTwoTwoCompany)が取次をはじめた世界規模で高品質な配信を約束してくれるアカマイ社(アカマイ)は、エッジサーバーでコンテンツデリバリーネットワークサービスを行う老舗である。CNNをはじめマスメディア各社、Apple、IBM、Microsoft、Yahooなど、世界の人気サイトがそろってアカマイ社を利用するには、パフォーマンスと安心感を両立した実績にあるのだ。

エッジキャッシュサービスとは、ファーストノードにあるオリジナルサーバーコンテンツをエンドユーザーが加盟しているプロバイダーの最も近くにあるキャッシュサーバーへコンテンツを分配して、エンドユーザーへ直接提供するサービスのことである。
このときのキャッシュサーバーへの配信をコンテンツデリバリーと言い、アカマイ社の最も得意なテクノロジーなのだ。
世界中に数万台に及ぶエッジキャッシュサーバーを有するアカマイ社では、メジャーなインターネットプロバイダーには、ほとんどと言って良いぐらいの配置実績を持つコンテンツデリバリーサービスのメジャーブランドだ。しかもエッジキャッシュ間のコンテンツデリバリーには衛星などの独自データ回線を利用してミドルノードの混雑をバイパスすることができる。また、複数の有効なルートを利用したアレイ転送のような能力も有してハイパフォーマンスを保証している。
例えばアメリカから最初のエンドユーザーが東京にあるオリジナルサーバーへアクセスを試みた場合、2人目以降のエンドユーザーは、すべてキャッシュで足りてしまうので、ファーストノードへのアクセスは差分しかなくなり、負担は一気に軽減されるわけだ。
ニューヨークでのテロ事件を報道するメディアでは、インターネット始まって以来のアクセス集中が発生したが、アカマイ社のサービスによってサーバーダウンを救われたのは関係者では有名な話だ。
それでは、アカマイ社のサービスの中からFreeFlow Streamingの内容を見てみよう。

 

FreeFlow Streaming
最高品質のストリーミングメディアを確実に配信する世界標準
品質が悪いストリーミングメディアをじっと我慢して見続ける人がいるだろうか?映像が止まったり、音声が途切れるようなことがあると、視聴者を失うことになるのは明らかだ。これを避けるには、世界で最も信頼性があり、高品質なストリーミングメディアを配信するアカマイのFreeFlow Streamingが必要だ。
FreeFlow Streamingは、ライブ、オンデマンド、および24時間体制のストリーミングメディアコンテンツを、インターネットのエッジから放送品質を保持したまま配布する。ライブのスポーツイベント、映画の予告、音楽ビデオ、または会社案内など、どのようなストリームも完璧に配信されるので、Webサイトのビジターが楽しめるコンテンツの配信が可能になる。

 

FreeFlow Streamingの動作

FreeFlow Streamingは、アカマイが特許権を保有するSteadyStreamSM テクノロジーと世界最大のフォールトトレランスを備えたネットワークを利用して、ライブおよびオンデマンドのストリーミングメディアを配信する。SteadyStreamでは、オリジナルのストリームを、エンドユーザーの近くにある数千台ものアカマイのエッジサーバに転送する。その結果、常にパケット損失のないストリームがインターネットエッジから配信される。

ライブストリーミングの場合:パケット損失による映像の乱れを防ぐため、SteadyStreamは元のストリームを複数のストリームに分割し、それをアカマイのエントリポイントからインターネットエッジにある最適なストリーミングサーバに複数の経路を経由して配信する。これらのストリームがサーバからエンドユーザーに配信されるときには、結合されてオリジナルと同等品質のストリームとして復元される。
オンデマンドストリーミングの場合:ストリーミングが実際に開始される前に、SteadyStreamはストリームをストレージからダウンロードして、インターネットエッジにある最適なアカマイのストリーミングサーバに転送する。そしてこれらのストリーミングサーバがオリジナルと同等品質のストリームをエンドユーザーに配信する。
優れたスケーラビリティ:アカマイは、衛星およびブロードバンドプロバイダを含む世界中の主要なインターネットバックボーン、キャリア、およびサービスプロバイダのデータセンターとPOP(Point of Presence)に、数千台のサーバを配置している。このようなネットワークによって、FreeFlow Streamingはコンテンツに対する幅広い要求を満たすことができるようになっている。
最高の信頼性:アカマイの大規模でフォールトトレラントな負荷分散型ネットワークアーキテクチャがベースになっているため、FreeFlow Streamingに対して要求が厳しすぎたり、ライブイベントが大きすぎるということはない。ニーズに応じて、数十万のストリームでも同時に配信できるだけの容量を確保できる拡張性がある。
強力なパフォーマンス:FreeFlow Streamingは、視聴者が世界のどこにいてもその近くのサーバにストリームが配信される。コンテンツはインターネット上の輻輳を迂回してストリーミングされるので、パケット損失や遅延は大幅に削減され、エンドユーザーはより高い満足感を得ることができる。

FreeFlow Streamingの将来
フォーマットおよびエンコーディングの幅広いサポート:FreeFlow Streamingは、ナローバンドおよびブロードバンドの両方で使用できるエンコーディングフォーマットとして、Apple® QuickTime™、Microsoft® Windows Media™、およびRealSystem®の3つのフォーマットをサポートしている。
特許権を持つテクノロジー:FreeFlow Streamingは、アカマイが特許権を保有するテクノロジーを利用して、一貫した高品質のストリームをすべてのエンドユーザーに配信します。インテリジェントなルーティングにより、ストリームはインターネットの輻輳を迂回する経路を使って転送される。また、各視聴者に最適なストリーミングサーバをマッピングする機能にも、アカマイが特許権を持つテクノロジーが組み込まれている。アカマイの負荷分散型ネットワークなら、ユーザリクエストを十分に満足させるストリーミングサーバを確実に割り当てることができる。
包括的なレポーティング:アカマイでは、使いやすくてカスタマイズ可能なWebベースのレポーティングツールを用意している。このレポーティングツールを使用すると、視聴者の利用状況と行動についてのリアルタイムな分析と履歴の分析が可能になり、投資回収率の評価に役立つ。視聴者の統計情報は、地域別、ビットレート別、およびストリームフォーマット別にソートできる。
エンドツーエンドのソリューション:アカマイは、プロフェッショナルな制作機器とスタッフ、信号収集、およびエンコーディングサービスなどによって、お客様のストリーミングメディアプロジェクトを、その開始時から終了時までサポートしている。
利用をされたい方はフォーツーツーまでお問い合わせいただきたい。
日本国内ではNTTがB-フレッツなどNTT内ネットワークの光高速回線網でエッジキャッシュサービスを展開していく予定だが、海外も含めてワールドワイドで考えるとアカマイ社に匹敵する総合サービスは見当たらない。
McAfeeや、TowerRecordsなど、多くの大規模通販サイトの効率的な運用にも利用されるアカマイ社は中立的でグローバルなコンテンツデリバリネットワークを提供してくれるありがたい存在だ。

 

 

取材先:アカマイ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社


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