「インターネット放送のしくみ」


FourTwoTwoCompany <http://www.ftt.co.jp>
尾上泰夫 <onoe@ftt.co.jp>

インターネットでエンドユーザー側の回線は安価で広帯域になって喜ばしいが、契約スピードが向上したほどには実際のサービス速度を得られない現実がある。
年々高性能になるコンピュータ、そして高速のラストノード回線。
しかし、インターネットのサービススピードのパフォーマンスは思うように向上しない。

実は速い回線が、より多くのエンドユーザーをオリジナルサーバへ導いてしまうため、サーバ付近のファーストノードにあるネットワーク回線が相対的に遅く、不安定になり、つながりにくい現象を助長しているのだ。短時間に集中するサーバへのアクセスに耐え切れなくなるとサーバダウンの原因になる。有名アーティストのコンサートや、期間限定の申し込みなどサーバダウンが報道されるケースが増えてきている。

オリジナルサーバへ集中するしかない環境では、改善の方法が高額なバックボーン回線の増量や、サーバ多重化による負荷分散など更なる投資が必要になる。これは平常時にオーバークォリティを覚悟しなければならない。
この状態を効果的に改善するにはエッジキャッシュサービスを利用することだ。

世界規模で高品質な配信を約束してくれるAkamai社(アカマイ)は、エッジサーバでコンテンツデリバリーネットワークサービスを行う老舗である。CNNをはじめマスメディア各社、Apple、IBM、Microsoft、Yahooなど、世界の人気サイトがそろってアカマイ社を利用するには、パフォーマンスと安心感を両立した実績にあるのだ。

エッジキャッシュサービスとは、ファーストノードにあるオリジナルサーバコンテンツをエンドユーザーが加盟しているプロバイダーの最も近くにあるキャッシュサーバへコンテンツを分配して、エンドユーザーへ直接提供するサービスのことである。
このときのキャッシュサーバへの配信をコンテンツデリバリーと言い、アカマイ社の最も得意なテクノロジーなのだ。
世界中に数万台に及ぶエッジキャッシュサーバを有するアカマイ社では、メジャーなインターネットプロバイダーには、ほとんどと言って良いぐらいの配置実績を持つコンテンツデリバリーサービスのメジャーブランドだ。しかもエッジキャッシュ間のコンテンツデリバリーには衛星などの独自データ回線を利用してミドルノードの混雑をバイパスすることができる。また、複数の有効なルートを利用したアレイ転送のような能力も有してハイパフォーマンスを保証している。
例えばアメリカから最初のエンドユーザーが東京にあるオリジナルサーバへアクセスを試みた場合、2人目以降のエンドユーザーは、すべてキャッシュで足りてしまうので、ファーストノードへのアクセスは差分しかなくなり、負担は一気に軽減されるわけだ。
ニューヨークでのテロ事件を報道するメディアでは、インターネット始まって以来のアクセス集中が発生したが、アカマイ社のサービスによってサーバダウンを救われたのは関係者では有名な話だ。
それでは、アカマイ社のサービスの中からFreeFlow Streamingの内容を見てみよう。

FreeFlow Streaming
最高品質のストリーミングメディアを確実に配信する世界標準
FreeFlow Streamingは、ライブ、オンデマンド、および24時間体制のストリーミングメディアコンテンツを、インターネットのエッジから放送品質を保持したまま配布する。ライブのスポーツイベント、映画の予告、音楽ビデオ、または会社案内など、どのようなストリームも完璧に配信されるので、Webサイトのビジターが楽しめるコンテンツの配信が可能になる。

ライブストリーミングの場合:パケット損失による映像の乱れを防ぐため、SteadyStreamは元のストリームを複数のストリームに分割し、それをアカマイのエントリポイントからインターネットエッジにある最適なストリーミングサーバに複数の経路を経由して配信する。これらのストリームがサーバからエンドユーザーに配信されるときには、結合されてオリジナルと同等品質のストリームとして復元される。

オンデマンドストリーミングの場合:ストリーミングが実際に開始される前に、SteadyStreamはストリームをストレージからダウンロードして、インターネットエッジにある最適なアカマイのストリーミングサーバに転送する。そしてこれらのストリーミングサーバがオリジナルと同等品質のストリームをエンドユーザーに配信する。
優れたスケーラビリティ:アカマイは、衛星およびブロードバンドプロバイダを含む世界中の主要なインターネットバックボーン、キャリア、およびサービスプロバイダのデータセンターとPOP(Point of Presence)に、数千台のサーバを配置している。このようなネットワークによって、FreeFlow Streamingはコンテンツに対する幅広い要求を満たすことができるようになっている。
最高の信頼性:アカマイの大規模でフォールトトレラントな負荷分散型ネットワークアーキテクチャがベースになっているため、FreeFlow Streamingに対して要求が厳しすぎたり、ライブイベントが大きすぎるということはない。ニーズに応じて、数十万のストリームでも同時に配信できるだけの容量を確保できる拡張性がある。
強力なパフォーマンス:FreeFlow Streamingは、視聴者が世界のどこにいてもその近くのサーバにストリームが配信される。コンテンツはインターネット上の輻輳を迂回してストリーミングされるので、パケット損失や遅延は大幅に削減され、エンドユーザーはより高い満足感を得ることができる。

「コラム」
包括的なレポーティング:アカマイでは、使いやすくてカスタマイズ可能なWebベースのレポーティングツールを用意している。このレポーティングツールを使用すると、視聴者の利用状況と行動についてのリアルタイムな分析と履歴の分析が可能になり、投資回収率の評価に役立つ。視聴者の統計情報は、地域別、ビットレート別、およびストリームフォーマット別にソートできる。
エンドツーエンドのソリューション:アカマイは、プロフェッショナルな制作機器とスタッフ、信号収集、およびエンコーディングサービスなどによって、お客様のストリーミングメディアプロジェクトを、その開始時から終了時までサポートしている。
利用をされたい方はフォーツーツーまでお問い合わせいただきたい。
日本国内ではNTTがB-フレッツなどNTT内ネットワークの光高速回線網でエッジキャッシュサービスを展開していく予定だが、海外も含めてワールドワイドで考えるとアカマイ社に匹敵する総合サービスは見当たらない。
McAfeeや、TowerRecordsなど、多くの大規模通販サイトの効率的な運用にも利用されるアカマイ社は中立的でグローバルなコンテンツデリバリネットワークを提供してくれるありがたい存在だ。